マシマシボッタを追って、みらおたちは沼のさらに奥へと進んだ。
みらおマシマシボッタのやつ、どこにいったんだ〜
デカいわりに逃げ足だけは早いやつだ……



クンクンッ……!
みゃみゃみゃ……こっちみゃ🐾
おかしな、においがするみゃ〜🐾
みうらのカンをたよりに、しげみをかきわけると——そこには、おどろきの光景が広がっていた……
沼のまんなかに、紙、紙、紙……
びっしりと契約書やら請求書やらが、まるで落ち葉のように、ぬまの水面にうかんでいたのだ。



なに、これ……ぜんぶ
だれかがサインさせられた紙……?



そう。
ここはマシマシボッタの巣だ……
あわてて、言われるがまま
サインしてしまった人たちの……
後悔のあとなんだよ……
……なにか聞こえてくる
……プション……シマシ…ボッタクリ〜♪



出たッ!
マシマシボッタさまの通った後には
ビタ一文残らんのやで〜!
魔王もだまる、天下無双極悪天才商売人の
マシマシボッタ様とはワイのことや〜
な ん ち ゃ っ て♪
どひゃ~♪
…………



……!
っておったんかーいッ💦
おるんやったら
おるって言わんかいアホンダラーッ ボケーッ!
一人でしゃべり続けるとこやったやないかッ!
びっくりしたわ〜
…………(一同)
……なんか言わんか〜い!



お前はもう、◯んでいるッ!



アベシッ!
………(一同)



……
どぁーほーッ!なに言わせとんねんッ!



みらいちゃん寒気がする〜



ダメよ、みらら、しーしなさい
しばし静寂がながれた
マシマシボッタ
「ほんま、よう来よったなぁ、ここまで……。
じゃまばっかりしよる、おせっかいな旅人さんらやでぇ!」
マシマシボッタは、さっきより、大きくふくらんでいた。
人の後悔を吸って、太っているのだ!


マシマシボッタ
「悲しんどる人間はやなぁ、考えられんへんのや
せやから、ワイが、ぜーんぶ決めたんねん
高い、高い、りっぱな、 お み お く り やっ!」
マシマシボッタが、ばさばさと契約書の紙ふぶきをまきちらした!
紙が顔にはりつき、みんなの視界をうばう!
みらお
「わっ、なにも見えない……!」
みー坊
「みんな、まどわされないで!
こういう時こそ、思い出して。
あわてて決めない——それが、いちばんの武器なんだ☀️」
みらおは、はりついた紙をはがして、ぐっと前を見た。
「……そうだ。おれたちはもう知ってる、あわてなくていいんだッ」
みらおが、一歩、また一歩と、紙ふぶきの中を進む。マシマシボッタが、ぎょっと後ずさった。





な、なんで、まどわされへんのや……!?



教えてもらったからだよ。
葬儀には、なにに、いくらかかるか——
『葬儀そのものの費用』
『料理や返礼品の費用』
『お寺などへのお礼』
ちゃんと分けて考えれば、こわくない!



それにね、いちばんの方法があるんだ〜
それは『事前相談』——元気なうちに
葬儀のことを、前もって相談しておくことなんだよ〜ッ☀️



みらら的にはね〜💕
事前相談って『縁起が悪い』って
思われがちだけどほんとは逆なの💕
おだやかな気持ちのうちに決めておくから
いざという時、大切な人のことだけ
ちゃんと考えられるんだよ〜💕
マシマシボッタ
「や、やめんかい……その話は、すな〜……!」
みー坊は手をゆるめない
「あわてる前に、くらべて、考えて、決めておく
家族と話しておく、そうすれば……
きみの出番はなくなるんだーッ☀️」
マシマシボッタの体が、みるみる、しぼんでいく
人々が「知って」しまえば、後悔を吸えなくなるのだ



ああ、ワイのごちそうがぁ……
「あなたには、もう、だれもだまさせない……
お仕置きよ!ゲキオコーーーーッ🌟」


みらいの杖からまばゆい光がはじけ、しぼんだマシマシボッタを吹き飛ばす!



おぼえとけよアホンダラ〜……
と、マシマシボッタはなさけない声をのこして
沼の底へ、とけるように消えていった
すると——沼にうかんでいた無数の紙が、ふわりと空にまいあがり、光の粒になって消えていく
ぬかるんでいた大地が、すこしずつ、かたく、あるきやすい道にかわっていった。


みらお
「沼が……晴れていく」
みー坊
「みんなの後悔が、ほどけたんだね……
知ることは、自分を守ること。
それが、この沼をぬける方法だったんだ☀️」
帰り道、あの若者が、ふかぶかと頭をさげた
「ありがとうございました。
ぼく、家に帰ったら、家族と話してみます。
元気なうちに、ちゃんと……その方が、きっと、後悔しないから」
みらいはニッコリと返す
「うん。それがきっと、いちばんの親孝行だよ」
沼をぬけると、ひさしぶりの青空が広がっていた、しめった服を風がかわかしていく



今回はみうらのカンが大活躍だったね!



みゃ〜いッ🐾
活躍できてうれしいみゃ〜🐾



この先には、きれいな泉があるって聞いたんだ〜
……きっと、また新しい出会いがありそうだね〜☀️
——あわてず、くらべて、前もって。それだけで、悲しみの沼はこわくない。



へんしゅーちょう今日は、ちょっとやりすぎたんじゃな〜い💕



ダメよ、みらら
そーゆーのを、ヤボって言うの
ヤボったいこと言うもんじゃないわ🌟
次回:第16話「静かな泉のほとりで」
8/17(月) PM8:00 公開予定!
沼をぬけた先にあらわれた、うつくしい泉。
そこに集う人々には、それぞれの「見送りのかたち」があった——。



かみんぐす〜ん、にゃ〜 🐾
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前回:第 14 話 「ぬかるむ葬儀社の沼」


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