森を抜けた一行が、ゆるやかな丘の道を歩いていたとき
ふと、みうらが道のはしっこで足を止めた。
「みゃみゃッ🐾 なにか落ちてるみゃ〜🐾」
草のあいだに、ひもでたばねられた、古い手紙の束が落ちている
みらおはそれをそっと拾い上げた
「手紙……だれかの忘れものかな?」
それを見てみー坊はなにか気づいた様子で
「これは……ただの手紙じゃないよッ、封筒に番号がふってあるもん☀️
①、②、③……
順番に読んでいく手紙みたいだよ〜ッ☀️」

みらいはワクワクした様子で
「なになに順番に……?
なんだか、宝さがしみたいね〜」
一行は、道ばたの切り株に腰かけて、①の手紙から読みはじめた。
①の手紙
「これを読む人へ。わたしが旅立ったあと
のこされた家族が困らないように、
手続きの順番を書きのこします。
あわてなくて大丈夫。ひとつずつ、進めばいい」
みらおきっとだれかが、のこされる人のために、書いたんだ……



うん。これはね
『相続の手続きの流れ』を教えてくれる手紙なんだッ☀️
だれかが亡くなったあと、何を、どんな順番でやればいいか
知らないと、すごく困るんだ〜☀️
②の手紙
「まずは、あわてず深呼吸。そして
遺言書がないか、さがしてほしい。
遺言があれば、それが第一の道しるべになる——」



そうなの〜💕 遺言書があれば、まずそれを確認するの
なければ、つぎのステップへ進むんだよ〜💕
③の手紙
「つぎに
だれが相続人なのかを、はっきりさせること。
そして、のこした財産が、どれだけあるかを、ぜんぶ書き出してほしい。
プラスのものも、借金のようなマイナスのものも、もれなく」



これが大事なんだ〜ッ☀️
だれがうけつぐ人なのか、なにがどれだけあるのか、
これがはっきりしないと、つぎに進めないもんねッ☀️



ひとつずつ、たしかめていくんだね
④の手紙には、いちばん大事なことが書かれていた
「相続人みんなで
話しあってどう分けるかを決めてほしい。
これを『遺産分割協議』という。
だれかひとりが決めるのではなく、みんなで、納得いくまで——」



みんなで、話しあって決める……



そうッ☀️
相続人ぜんいんが集まって
『これはあなた』『これはわたし』って、
話しあって分けるんだッ。ひとりでも欠けちゃダメ。
みんなで決めたよ、っていう書類(遺産分割協議書)にして、のこすんだ〜ッ☀️



さっきの森の人たちも
これを知ってたら、ケンカしなかったのかもね



うんッ☀️だからこの手紙は
『道しるべ』なんだッ
順番がわかれば、こわくない
ひとつずつ進めば
ちゃんとゴールにたどりつけるんだ〜ッ☀️
最後の手紙には、こう結ばれていた
「あなたがこれを読んで、落ちついて進めてくれたなら、
それでじゅうぶん、あわてないで。あなたは、ひとりじゃない——」
読みおえると、みんな、しばらくしずかになった
会ったこともない手紙の主のやさしさが、胸にしみていたのだ
みらいは目をうるませて
「……すてきな人だったんだろうね。
のこされる人のことを、こんなに思って」
ポツリとみらお
「うん。……おれも、いつか、こういうふうに
だれかのために、のこせるかな…」
みー坊はニッコリと答えた
「みらおなら、できるよッ!だって、もう『順番』を知ったもんね〜☀️」
みらおは手紙の束をていねいにたたんで、カバンの中へそっとしまった
この手紙を必要とする人がいたら渡してあげよう、そう思ったのだ
丘の上から見わたすと、遠くに、にぎやかな王国の影が見えてきた。





つぎは、あの王国にいこうーッ☀️
だってなにかが待ってる気がするんだも〜んッ☀️
みらお達は、手紙がくれたあたたかい気持ちをむねに、また歩きだした。
——のこすことは終わりじゃない。だれかへの、やさしい道しるべになる
次回:第10話「手紙の最後の言葉」
手紙の主は、どんな人だったのか。手続きを放っておくと、どうなってしまうのか——
相続のもうひとつの大切なお話。


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前回:第 8 話 「森を抜ける道しるべ」


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