山道をぬけると、ひらけた谷あいに、あかるい村が見えてきた。
畑では歌声。広場では笑い声。
すれちがう人は、みんな、いきいきとした顔をしている。
みらいなんだか……元気な村だね〜



ここは『終活村』
この村の人たちはね
みんな『終活』をしているんだ〜



しゅうかつ……って、あれでしょ
人生の、おわりの準備……。
えっ、それでこんなに明るいの!?
村の入り口ちかくの家の庭で、ひとりのおじいさんが、鼻歌まじりに花に水をやっていた。
おや、旅の方かな。よかったら、お茶でもどうぞ


おじゃました家の中は、おどろくほど、すっきりと片づいていた
棚には、思い出の写真が、えらびぬかれて、ならんでいる。



わしはな、五年前から終活をしとるんじゃ
物は整理した、お葬式の希望も決めた。
だれに何をゆずるかも、ぜんぶこのノートに書いてある
おじいさんは、机の上の一冊のノートを、ぽんとたたいた。



それ……もしかして
『引きつぎのノート』?
遺跡で見たのと、にてる



うん。『エンディングノート』とも呼ばれてるものだね☀️
財産のこと、連絡してほしい人、お葬式の希望
家族へのメッセージ……
自由に書いておける、未来へのノートなんだッ☀️



そうそう。じゃがな、わしのは、それだけじゃないぞ
おじいさんは、ノートのべつのページを、ひらいてみせた。
そこには——
『これから行きたい場所』
『会いたい友だち』
『来年そだてる花』が、びっしりと書かれていた。
みらい
「え……これ、おわりの準備じゃなくて……
『これからやりたいこと』?」
おじいさん
「そうじゃよ。ふしぎなもんでな
身のまわりを整理して『もしも』の準備がすんだら
こわいものが、なくなったんじゃ。
そしたら急に『さて、のこりの時間で、なにをしようか』って
わくわくしてきてなあ」


おじいさん
「終活はな、おわりの準備なんかじゃ、なかったよ。
安心して、思いきり生きるための準備じゃった」
みらおは、はっとした。
みらお
「……準備するから、こわくない。
こわくないから、思いきり生きられる……」
みー坊はかみしめるように言った
「……いい言葉だね。準備は、未来を明るくするんだね☀️」
みらら
「みららこの村、大すきになっちゃった〜💕
みんなが元気な理由、わかったもんッ💕」
おじいさん
「はっはっは。
それならぜひ、村長にも会っていきなさい
この村の終活は、村長の教えから始まったんじゃ。
……あの人の話は、きっと、あんたたちの旅の役にも立つよ」
みうら
「村長さん、どんな人か気になるみゃッ🐾」
夕日にそまる畑では、まだ歌声がつづいていた。人生の午後を、たのしそうに生きる人たちの歌が。
——おわりの準備は、はじまりの準備。終活村は、その答えを知っていた。


次回:第24話「村長の教え」
9/14(月) PM8:00 公開予定!
終活村の村長が語る、「終活」のさらに先にあるもの——
それは、未来に種をまく「みら活」だった。



かみんぐす〜ん、にゃ〜 🐾
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前回:第22話「遺品整理の嵐」


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