終活村のとなり。小さな川をわたると、空気が、がらりと変わった。
音楽。カラフルな旗。壁には、おおきな絵が、のびのびと描かれている
行きかうのは——おどろくことに、みんな若者だった。
みらおここ、ほんとに『終活』の村……?
お祭りみたいだけど



みらら的にはこの村
センスが好き〜💕
広場では、若者たちが、なにかのカードを見せあって、盛りあがっていた。
若者A
「おれ『推しグッズのゆくえ』ぜんぶ書けた!
これ、しんゆうにあげる」
若者B
「わたしは『SNSどうするか』決めた〜
思い出のやつだけ残して、あとは消してもらう!」



え……あの子たち、若いのに、
もしもの話をしてる……。
しかも、たのしそうに
ひとりのポニーテールの女の子が、一行に気づいて、かけよってきた
にっと笑った口もとに、八重歯が、きらりと光る。





いらっしゃい!
オレの名は、みら!よろしくな
そしてここは『Z世代終活村』
オレはこの村をまとめてる武道家ってわけ
『終活は老後にやるもの』って思ってるでしょ?
うちの村は、ちょっとちがうんだぜ〜



よ、よ、よ、
よろすく、、み、みらちゃん……❤️
みらおはときめいた、ときめいてしまったのだ
……どこからともなく不穏な気配がする……



若いからこそ、やっとくんだ!
だって『もしも』は、年齢の順番どおりには、来ないからな
みらおは、みらに見とれている……
……ゴゴゴゴォォーーーーッ……
さきほどより気配が強まったが
みらおは気づいていないようだ……



……ほーう
みら
「たとえばさ、オレたちの世代は、
大事なものの半分が『スマホの中』にあるじゃん
写真も、日記も、友だちとの思い出も、お金のやりとりも。
——もし今日、オレになにかあったら?
家族はそれを、ひとつも開けられない」
みー坊
「……そうなんだ。デジタル遺産の問題は
若い世代のほうが、じつは深刻なんだよ〜
持っている量が、けたちがいに多いから☀️」
みら
「だろ〜!
だからうちの村では、みんな『もしもリスト』を作ってるってわけよ!」
見せてくれたのは、ポップに飾りつけられた、小さなカードの束だった。
『スマホの合言葉は、ここを見て』
『SNSは、こうしてほしい』
『この曲を、そうしきで流して』
『推しのグッズは、あの子に』





か、かわいい……。
重い話のはずなのに、ぜんぜん暗くない……



そこがコツなッ!
うちの村のルールは
『しんこくにやらない』
友だちと、お茶しながら、笑いながら書く
……そうすると、ふしぎと
『自分がなにを大事にしてるか』が、見えてくるんだッ!



若いのに、えらいなあ……ポッ❤️



えらくないよ!
だって、これ、未来の話をしてるだけだもん
『もしも』を書き終わったら
のこりぜんぶが『これから』になる。
そしたら、思いっきり遊べるじゃんッ?



終活村の村長さんと、おなじことを言ってる
かたちはちがっても、心はおなじなんだね



世代がちがっても
みら活はみら活なんだね〜💕
そのとき。広場のすみで、ひとりの青年が、浮かない顔で座っているのが見えた。
手には、書きかけの『もしもリスト』


みら
「……ああ、あの子ね、レンっていうんだ
リストを書いたのを、親ごさんに見つかって
『縁起でもない!』って、大ゲンカになっちゃったんだって……」
みらお
「……縁起でもない、か」
それは、旅のはじめに、遺言の塔の村で聞いたのと、おなじ言葉だった。
世代が変わっても、おなじ壁が、あるらしい。
みらお
「……ちょっと、話してみようかな」
みら
「えっ……」
——若さと終活は、遠いようでいちばん近い
「もしも」を書き終えたとき、のこりはぜんぶ「これから」になるのだから。
次回:第26話「若者の『もしも』」
9/21(月) PM8:00 公開予定!
「縁起でもない」と親に反対された青年。世代をこえて、想いはとどくのか——
若者のみら活、完結編。



かみんぐす〜ん、にゃ〜 🐾



みゃッ🐾
なんか見つけたみゃッ🐾


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前回:第24話「村長の教え」


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