門をくぐるとそこは、まぶしいほどにぎやかな王国だった
色とりどりの花がかざられ、あたたかい灯りがゆれている。
人々は、亡くなった大切な人を思いながら、花をそなえ、歌を歌い、笑っていた。
かなしいだけじゃない、あたたかいお祭りのような国だ
みららわぁ〜、きれいな国だね〜💕
みんな、たのしそう〜💕



ここは『供養王国』だよ〜☀️
供養——亡くなった人を想って、大切にする気持ち、
かたちにする国なんだ〜☀️



供養って……
お墓にお参りするみたいなこと?



うん、それも供養のひとつだよ。
ほかにもね、お坊さんにお経をあげてもらう『法要』とか、
みんなで集まって故人を思い出す会とか……
いろんなかたちがあるんだ〜☀️



へ〜そーなんだー! かなしむだけじゃなくて
こんなに、あたたかいんだねッ🌟



そうなんだ〜 供養はね
亡くなった人と、生きているぼくたちを『つなぐ』ってこと
思い出して、語りかける——
それだけで、りっぱな供養なんだよ〜☀️
王国を歩いていくと人々が、それぞれのやり方で大切な人を想っている
花をそなえる人
手を合わせる人
故人の好きだった料理を作って、みんなで食べる人



みんな、ちがうことをしてるみゃ〜🐾
でも、どれもあったかいみゃ〜🐾



そう、供養に『これが正解』ってのはないんだ〜ッ
四十九日とか、一周忌とか
区切りの法要もあるけど
いちばん大事なのは『想う気持ち』
かたちは、その人らしくていいんだよ〜☀️
しばらく歩いて王国のいちばん奥、りっぱなお城の前まで来ると、なにやら様子がちがった
門番
「ああ、旅の方々……じつは
われらの王さまがたいそう気を落とされていて…」
通されたお城の広間で、王さまは玉座にすわったまま、ふかいためいきをついていた
りっぱなおひげの、やさしそうな王さまだ。


供養王は深刻な表情で口をひらいた
「旅の者たち、よくぞ来てくれた……
だがすまぬな、わしは今なやんでおるのだ…」
みらお
「どうか、されたんですか?」
供養王
「うむ…… 近ごろ供養のかたちが、どんどん変わってゆく
むかしながらのやり方をする者が、へってきた。
わしは……こわいのだ、このままでは大切な人を思う心そのものが
消えてしまうのではないかと…」
王さまの声はしずんでいた、広間の灯りもどこか元気がない。
みー坊は少しさみしげな表情で、ぼそっと言った
「王さま、それは……」
みらいはそっと言葉を添える
「王さまは、みんなのことを、本当に大切に思ってるんですね…」
みらおは自分の中の、なにかにふれるように王さまの言葉を、そっとくりかえした
「かたちが変わるのが、こわい……」
そのときだった
なにやら、ざわざわとした不穏な気配がただよってきて
灯りが、いっせいにゆらぐ



!!……なにかいる…
この王さまの『こわい』って気持ちに
つけこもうとしてる魔物に違いないッ



は〜い💕
みらら的にちょっといやな予感がする〜
王国のにぎやかな灯りの奥で、なにかがしずかに蠢(うごめ)きはじめていた。
——変わりゆく供養のかたち…そして、変わらない大切な心。
その両方を知る旅が、いま始まる。
次回:第12話「王国の秘密」
供養のかたちが変わることを恐れる王さま。その心の闇につけこむ魔物とは!?
そして羅針盤の三本目の針「つなぐ」が——。


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前回:第 10 話 「手紙の最後の言葉」


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