海べの港から、小さな渡し船にゆられて、しばらく。
青い海のまんなかに、その島はあった。
——『おひとり島』
みらおおひとり島、かぁ……
なんだか、さみしそうな名前だね〜
ところが
船が桟橋についたとたん、聞きおぼえのある大声が、とんできた。
桟橋のさきで、みらが腕を組んで仁王立ちしているではないか



ようッ!
おせーぞ、みらおーッ!



み、みらちゃんッ❤️
なんで先にいるのーッ!?



漁師の船に乗せてもらったんだッ
おまえらの乗った渡し船より、ぜんぜん速いぜ!
……ばあちゃんの顔、見に来たんだよ。
ついでに、おまえらの案内もしてやるか!
(か、かっこよい…… ぽーっ❤️)



……ほほう?
島を歩くと、意外な光景が広がっていた。
小さな家がぽつり、ぽつりと建っていて、庭で花をそだてる人、釣りをする人、絵をかく人
——みんなひとりで、でもいきいきと暮らしている。





さみしい島かと思ったら……
みんな、たのしそう〜💕



だろ?
ここはな、『ひとりで生きる』をえらんだ人たちの島なんだ。
ひとり=さみしい、なんて決めつけんなよな
みらのばあちゃんの家は、丘の途中にあり
庭さきで、ばあちゃんは豪快に薪をわっていた。





おお、みらか!
でかくなったねぇ!
……んぁ?
そっちの旅のもんたちは、なんだい!
笑うと、口もとに八重歯がのぞいた。
……そっくりだった……
みらお
(ばあちゃんも、なんだか荒々しい……)
お茶をよばれながら、ばあちゃんの暮らしの話を聞いた。
ばあちゃんは、この島でずっと、ひとり暮らしだという。
みらい
「その……ひとりで、不安になることは
ないんですか?たとえば、急に倒れたりしたら……」
ばあちゃんはぶっきらぼうに答えた
「いい質問だねぇ!
不安はあるに決まってんだろ。だからそなえてんだ」
ばあちゃんは、ガサゴソと棚から一冊のノートと、一枚の札を出してきた。
ばあちゃん
「これはぁあたいの『そなえノート』だ。
連絡してほしい人、かかりつけのお医者、のみ薬
ぜんぶ書いてあるんだッ
それからこの札は——『身元保証』の証だよ!」





みもとほしょー?



ひとり暮らしの人が入院したり、施設に入ったりするとき
『保証人になってくれる家族がいない』と
こまることがあるんだ。
そういうとき、家族のかわりに保証や手続きを支えてくれる仕組み——それが身元保証サービスなんだ〜☀️



そう!
それとね、この島にはもうひとつ
たからものがある。
『ゆるい見守り』さ
毎朝、庭の旗を立てる。
となりのじいさんも立てる、旗が立ってなかったら
だれかが見にいく。……それだけだ、べたべたしない
でも、見すてない。
ひとりで生きるってのは、そういう知恵の積みかさねなんだ
みらい
「そーなんだー……。
ひとりで生きることと、ひとりぼっちは、ちがうんだね」
みらが、めずらしく、やわらかい顔で言った
「ばあちゃんは、オレのじまんなんだ
……ひとりでも、ちゃんと生きてる。
だれよりも、つよく、自由にな」
夕方、ばあちゃんが、ふと窓の外に目をやった。



そうだ。あんたたち、あした
島の最果ての岬へ行ってごらん
灯台守のじいさんがいる。
……あの人ぁはね、この島のだれよりも
『自分の最期』とまっすぐ向きあった人なんだ
みらお
「自分の、最期と……」
窓の外、遠い岬のさきで、灯台の光が、ゆっくりとまわりはじめていた。
——ひとりで生きるは、さみしいじゃない。そなえと知恵と、ゆるいつながりがあれば。


次回:第28話「島の最果てで」
9/28(月) PM8:00 公開予定!
灯台守の老人が語る「自分の最期の決めかた」
そして夕暮れの岬で、みらおの心に、あの影がしのびよる——。



かみんぐす〜ん、にゃ〜 🐾



みゃみゃみゃッ!
こんどは桟橋に落ちてたみゃ🐾


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前回:第 26 話 「若者の『もしも』」


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