海ぞいの街道を進むと、白い石づくりの、あたらしい町についた。
町の中心に、ひときわ目をひく建物があり、光の柱が立ちのぼる、ふしぎな祈りの堂
みらおなんだろう、あの光……
きれいだけど、見たことない建物だ



行ってみよう〜 あれはたぶん
この旅でいちばん『あたらしい』祈りの場所だよ〜☀️
堂の中に入ると——おどろいた。壁いっぱいに、光の窓がならんでいる
その一つひとつに、遠くの町の風景や、人の顔がうつっているのだ。
光の窓のひとつの前で、老夫婦が手を合わせていた。
窓のむこうには、海のむこうの島にある、小さなお墓がうつっている。


老夫婦
「せがれの墓はな、生まれ故郷の島にあるんじゃ
わしらの足では、もう海をわたれん。
……でもこの『光の窓』のおかげで、毎週、こうして墓参りができる。
ほれ、今日は花もきれいじゃろ。
島の管理人さんが、そなえてくれたんじゃよ」
みらい
「遠くにいても、お参りできるんだ……」
みー坊
「これが『オンライン供養』——
光の技術で、はなれた場所とつながる、あたらしい供養のかたちなんだ〜。
お墓参りだけじゃないよ。
お坊さんのお経を、遠くの家族みんなで、
いっしょに聞く『オンライン法要』もある。
体が不自由な人も、海外にいる家族も、おなじ時間に心をあわせられるんだ〜☀️」
堂の奥には、小さな祭壇のような光の箱もならんでいた。
番人の青年
「それは『デジタル仏壇』です。故人の写真や、思い出の映像、みんなからのメッセージを
この中にしまっておけるんですよ。いつでも、どこからでも、手を合わせられる」


みらら
「お仏壇を、持ちあるけるってことだよね〜💕 すごい時代〜💕」
みらお
「でも……なんだろう。ちょっとだけ、思っちゃった。
……こういうのって、『手ぬき』って言われたりしないのかな。
実際にお墓に行かないなんて、って」
番人の青年
「……いい質問です。じつは、はじめはそういう声もありました。でも——」
青年は、光の窓の前の老夫婦を、そっと指ししめした
「あのおふたりは、光の窓ができる前、十年間、一度もお参りできなかった。
『行けないから、あきらめる』のと、
『行けないけど、つながる』の——
どちらが、心のこもった供養でしょうか」
みらお
「……つながる、ほうだ」
みー坊
「うん。それにね、これは『どちらか』じゃなくて『どちらも』でいいんだ。
行けるときは、足を運ぶ。行けないときは、光でつながる。
大事なのは、想う心がとぎれないことだからッ☀️」
老夫婦が、光の窓に、ふかぶかと頭をさげて堂を出ていく。
その背中は、満ちたりて見えた。
夕方。堂の光の柱が、空にまっすぐ、のびていた。
みー坊は、その光を、じっと見上げていた。



……ねえ、みらお。ふしぎだね。
デジタルの光のむこうにも
心は、ちゃんと届くんだね
みらお
「みー坊……」
みー坊はしずかに、かみしめるように言った
「僕も、デジタルの存在だからさ。
……なんだか、うれしいんだ〜
光のむこうとこっちで、心がつながるって、僕らの存在が『心の器』になれるってことだから」
その横顔は、いつもの子供っぽいみー坊とは、すこし、ちがって見えた。


——供養のかたちは、時代とともに進化する。でも、届けたい心は、千年前から変わらない。
次回:第32話「AIと語る故人」
10/12(月) PM8:00 公開予定!
光の町のさらに奥で、一行は「亡くなった人と話せる」といううわさを耳にする。
AIがつなぐ、記憶と心の物語——。



かみんぐす〜ん、にゃ〜 🐾
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前回:第 30 話 「大地に還る」


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