遺言の塔をあとにしたみらお達は、なだらかな丘をこえて、大きな森の入り口にたどり着いた。
ところが、その森は——あたり一面、白い霧につつまれていて
木々のあいだから、人のあらそうような声が、あちこちで聞こえてくる。
霧の奥をのぞきこんで、みらおはゴクリと息を呑んだ
みらおな、なんだか……ぶっそうな森だな〜



ここは『相続の森』だよーッ☀️
相続のことで道に迷った人たちが
ぐるぐるさまよっちゃう森なんだ〜ッ☀️



そうぞく〜?



うんッ☀️
だれかが亡くなったとき、その人がのこしたお家やお金
物などを家族がうけつぐこと
それが『相続』なんだよ〜☀️
いざ霧の中へ足をふみ入れると、さっそく二人の旅人が、顔をまっ赤にして言いあらそっていた。
旅人A
「父さんの畑は
長男のおれがぜんぶもらうべきだ!」
旅人B
「なに言ってるのよッ!
わたしだって娘なんだから、もらう権利はあるはずよ!」
居ても立っても居られず、みらおは2人のあいだに割って入った
「ま、まあまあ、おちついて……!」





みらお、これはね
『だれが相続できるか』を知らないから
ケンカになっちゃってるんだ〜ッ☀️



じゃ〜みららが説明してあげる〜💕
あのね、のこされた物をうけつげる人は
法律でちゃんと決まってるの。
それを『法定相続人』っていうんだよ〜💕



ほうていそうぞくにん……??



いちばん最初にうけつげるのは
結婚してる相手——『配偶者』
これはいつでも相続人になれるの
それから子どもたち
男の子も女の子も、ぜ〜んぶ同じだけ、うけつぐ権利があるんだよ〜ッ💕
それを聞いて、言いあらそっていた二人が、ぴたりと止まった。
旅人B
「え……娘のわたしも、兄さんと、同じだけ?」
みー坊は優しい笑顔で答える
「そうだよ〜ッ☀️
むかしは『長男がぜんぶ』なんて考えもあったけど
今は子どもはみんな平等
男だから、女だから、で差はつかないんだも〜んッ☀️」
旅人A
「そうだったのか……おれは
長男だからって、ひとりでしょいこもうとしてた」
みらおは、二人のあいだに立って
にっこり笑った
「ひとりじめしようとするから、ケンカになる。
でも、ちゃんとルールを知って、分けあえば……
だれも、ひとりぼっちにならないよね」
その言葉に、二人の旅人は顔を見あわせて、すこし、ばつが悪そうにうなずいた。


みー坊がさらに続ける
「相続にはね、順番もあるんだッ。
まず配偶者と子ども。子どもがいなければ、親。
親もいなければ、兄弟……って、ちゃんと決まってるんだッ。
これを知ってるだけで、『だれがうけつぐの?』
ってモメごとが、ぐっと減るんだよ〜☀️」
みらいは理解した様子で
「へ〜そーなんだー!
知らないって、こわいことなんだね」
話しているうちに、二人の旅人のまわりの霧が、すうっと晴れていき
道がはっきりと見えてくる
旅人A
「ありがとう、旅の方… おれたち、もう一度
ちゃんと話しあってみるよ、
父さんがのこしてくれたものだからな」
二人は、今度はおだやかな顔で、肩をならべて森の出口へ歩いていった。
みらおはほっと胸をなでおろしてつぶやいた
「よかった……」
でも、森の霧は、まだすっかりは晴れていない
奥のほうからさらに深い霧と、もっと大きな争いの気配がただよってくる…
じっと森の奥を見つめるみー坊、その言葉に少し緊張感がにじんでいる
「この森のおく……
きっと相続のモメごとを大きくする
魔物がいるよッ…気をつけて進もう!」
いつもと違う様子のみー坊に、みららは緊張しながらもおどけてみせた
「みらら的にはちょっとドキドキするかな〜💕
でも、みんなでなら…だいじょうぶ 💕」
みうらも自分を奮い立たせている
「みんなで行けば、こわくないみゃ〜🐾」


みらお達は白い霧をかきわけて、相続の森のさらに奥へと進んでいった
——『うけつぐ』ということの、本当の意味を知る旅は、まだはじまったばかり
次回:第8話「森を抜ける道しるべ」
森の奥で待ちうける、相続のモメごとを生む魔物。
そして羅針盤の二本目の針「託す」が、いま明らかになる——。


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前回:第6話「整えることが、すべての始まり」


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